案件をこなすたびにノートやレシートに売上をメモしているものの、月末になるとその集計だけで半日つぶれてしまう。そんな経験がある個人事業主は少なくありません。清掃業や家事代行業のように1日に複数件をこなす業種では、案件ごとの金額はわかっても「今月どの顧客からいくら受け取ったか」「入金がまだの案件がどれか」までは把握しづらいものです。
この記事では、月次売上管理表に最低限必要な項目から、エクセル版・スプレッドシート版それぞれのテンプレート構成、顧客別集計や入金管理まで1枚の表でまとめる方法を具体的な数字とともに解説します。清掃業と家事代行業の記入例も紹介するので、自分の業種に置き換えてすぐに表を作り始められます。
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月次売上管理表の作成でつまずきやすいポイント
月次売上管理を始めようとして手が止まる理由は、だいたい共通しています。
案件ごとの売上を都度メモしているだけで、月単位の合計を出す仕組みがない
どの顧客にいくら請求したかが記録に残っておらず、リピート顧客の把握ができない
入金済みと未入金が同じ欄に混在していて、取りこぼしに気づけない
現金・銀行振込・クレジットカードなど支払い方法が混在し、集計の手間が二重になる
これらは表のフォーマットさえ整えれば大半が解消します。次の項目からは、実際にどんな列を用意すればよいかを見ていきます。
月次売上管理表に必要な項目
月次売上管理表には、最低限次の項目を用意します。
項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
日付 | 案件を実施した日 |
顧客名 | 個人名または屋号 |
サービス内容 | 定期清掃、スポット依頼、家事代行など |
数量・単価 | 時間数や回数と単価 |
小計(税抜) | 数量×単価の金額 |
消費税・合計(税込) | 小計に消費税を加えた金額 |
入金状況 | 未入金、入金済みなどのステータス |
入金予定日・入金日 | 予定と実績の両方を記録 |
顧客名と入金状況を独立した列として持たせておくことが、後述する顧客別集計と入金管理をスムーズに行うための前提になります。
エクセル版月次売上管理表の作り方(無料テンプレート配布)
エクセル版のテンプレートは、1シートに1か月分の取引を1行ずつ記録する形式にします。列の並びは次のとおりです。
A列に日付、B列に顧客名、C列に案件番号、D列にサービス内容、E列に数量、F列に単価、G列に小計(税抜)、H列に消費税、I列に合計(税込)、J列に入金状況、K列に入金予定日、L列に入金日、M列に備考を配置します。G列は「=E×F」、H列は「=G×0.1」、I列は「=G+H」の数式を入れておけば、単価と数量を入力するだけで税込金額まで自動計算されます。
シート下部には月間合計欄を作り、「=SUM(I2:I100)」で当月の売上合計を、「=COUNTIF(J2:J100,"未入金")」で未入金件数を表示させておくと、毎回関数を組み直す手間がなくなります。
上記の数式や入金状況のプルダウン、未入金の自動ハイライトまで設定済みのテンプレートをそのまま使えます。エクセル版テンプレートをダウンロード
清掃業の場合の記入例
個人で清掃業を営むケースでは、定期清掃3件(1件あたり24,000円)で72,000円、スポット清掃5件(1件あたり15,000円)で75,000円、エアコンクリーニング4件(1件あたり12,000円)で48,000円という構成になり、月間売上は195,000円(税抜)です。定期清掃とスポット案件を別々のサービス内容として入力しておくと、翌月以降にどちらの比率が伸びているかをすぐに確認できます。
家事代行業の場合の記入例
家事代行業では、週1回の定期依頼6件(1件あたり月16,000円換算)で96,000円、単発の掃除と料理代行10件(1件あたり8,000円)で80,000円、家事代行とベビーシッターの複合依頼3件(1件あたり20,000円)で60,000円となり、月間売上は236,000円(税抜)です。複合依頼は単価が高くなりやすいため、サービス内容の列を分けて記録しておくと、どの組み合わせが利益に貢献しているかが見えてきます。
スプレッドシート版月次売上管理表の作り方(無料テンプレート配布)
スタッフと入力を分担している場合や、外出先のスマートフォンから記録したい場合はGoogleスプレッドシート版が向いています。列構成はエクセル版と同じにした上で、複数人が同時に編集できる利点を活かします。
スプレッドシート版テンプレートを開くから「コピーを作成」を選ぶと、自分のGoogleドライブに数式・入金状況のプルダウン・条件付き書式まで設定済みの状態で複製されます。
スプレッドシート版では、案件管理用のシートを別に用意し、「=QUERY(案件管理!A:M,"select A,B,I where I is not null")」のような関数で当月の確定案件だけを売上管理シートに自動反映させると、二重入力の手間がなくなります。現場でスタッフが案件完了を入力した時点で、売上管理シート側の集計も同時に更新される仕組みです。共有設定は「閲覧者は編集不可」にしておき、入力担当者だけが編集権限を持つようにすると、数式の誤削除も防げます。
顧客別の売上集計を組み込む方法
月ごとの合計だけでなく、顧客ごとの売上を把握できると、リピート顧客への優先対応や単価交渉の判断材料になります。
売上管理表の別シートに顧客名を一覧化し、「=SUMIF(売上管理!B:B,A2,売上管理!I:I)」という数式を入れれば、A2セルの顧客名に該当する合計金額が自動で表示されます。この一覧を合計金額の降順に並べ替えると、上位5件の顧客だけで月間売上の半分近くを占めているケースも珍しくありません。清掃業であれば法人契約の定期清掃先、家事代行業であれば週1回以上の継続依頼者が上位に入ることが多く、この顧客層への対応を優先することが売上の安定につながります。
顧客別シートには直近3か月の推移も並べて記録しておくと、依頼頻度が落ちている顧客に早めに連絡を入れるといった対応も取りやすくなります。
入金管理とあわせて記録する方法
売上を記録するだけでは、実際にお金が入っているかどうかまではわかりません。入金状況の列を「未入金」「入金済み」の2択にとどめず、入金予定日と入金日の両方を持たせることで、遅延の把握ができるようになります。
条件付き書式で「入金予定日を過ぎているのに入金日が空欄」の行を赤く表示する設定にしておくと、未入金の取りこぼしを目視で見つけられます。設定は、対象範囲を選択したうえで「=AND($K2<TODAY(),$L2="")」という数式をルールに登録するだけです。
月末には入金済みの合計と通帳やクレジットカード明細の入金額を突き合わせ、差額があれば入金予定日の記載漏れや振込手数料の引き去りがないかを確認します。現金・銀行振込・クレジットカードなど支払い方法ごとに列を分けておくと、この突き合わせ作業も支払い方法別に絞り込んで進められます。
まとめ
月次売上管理表は、案件ごとの記録をただ集計するだけの表ではなく、顧客別の売上と入金状況までを1つの表で追えるようにすることで初めて経営判断に使えるようになります。
日付、顧客名、サービス内容、金額、入金状況の5項目は必ず列として独立させる
エクセル版は数式を組み込んだ1シート完結型、スプレッドシート版は案件管理シートとの連携型が向いている
顧客別のSUMIF集計で、売上に貢献している顧客を毎月把握する
入金予定日と入金日を分けて記録し、条件付き書式で未入金を可視化する
これらを1枚の表にまとめておけば、月末の集計作業は数字を打ち込むだけの数分程度の作業に変わります。見積もりから案件管理、請求書発行までを別々のツールで行っている場合は、売上管理と合わせて一元化することで、集計の手間そのものをなくすことも可能です。
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