「値上げしたいけど、お客様が離れてしまうのが怖い…」
「材料費も人件費も上がっているのに、料金は5年前のまま」
清掃業を営む多くの事業者が、価格改定に踏み切れないまま利益を圧迫されています。
2025年以降、全国の最低賃金は1,100円を超えました。前年比5%以上の上昇です。洗剤やモップなどの清掃資材、ガソリン代も高騰しています。「今の料金では立ち行かない」と感じているなら、それは正しい判断です。
この記事では、清掃業の事業者が顧客を失わずに値上げを実現するための手順とコツをお伝えします。
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なぜ今、清掃業の値上げが必要なのか
人件費の上昇が止まらない
日本政府は、2020年代中に最低賃金1,500円の達成を目標に掲げています。2025年時点で全国平均は1,100円を超え、東京では1,200円台に達しました。
清掃業は人の手に頼るビジネスです。人件費が上がれば、サービス料金に反映しなければ利益が残りません。
資材費・燃料費の高騰
洗剤、消耗品、ガソリン代。あらゆるコストが上がっています。5年前と同じ料金でサービスを提供していれば、実質的には値下げしているのと同じです。
業界全体で価格改定が進んでいる
大手ハウスクリーニング企業は、2024年から2025年にかけて相次いで価格を改定しました。業界全体の相場が上がっている今こそ、値上げに説得力が生まれるタイミングです。
値上げ前に準備すべき3つのこと
自社の原価と利益率を把握する
値上げの根拠を説明するには、まず自社の数字を知る必要があります。
確認すべき数字
1案件あたりの人件費(時給 × 作業時間 × 人数)
1案件あたりの資材費
移動にかかるガソリン代・車両維持費
事務作業にかかる時間のコスト
これらを案件ごとに整理すれば、どのサービスで利益が出て、どこが赤字かがはっきりします。
値上げ幅をコスト増の根拠とともに決める
「なんとなく10%」ではなく、実際のコスト増に基づいた金額を算出しましょう。
値上げ幅の決め方
3年前と現在の人件費の差額を計算する
資材費の上昇額を算出する
確保したい利益率を設定する(例:粗利率30%以上)
上記を合計し、サービスごとの新料金を決める
顧客ごとの対応方針を決める
すべての顧客に一律で同じ対応をする必要はありません。
顧客タイプ | 対応方針 |
|---|---|
定期契約のお客様 | 個別に丁寧に説明し、契約更新時に反映 |
スポット利用のお客様 | 新料金表を案内し、次回依頼時から適用 |
長年のお付き合いのお客様 | 感謝を伝えつつ、段階的な値上げを提案 |
価格に敏感なお客様 | サービス内容の見直しとセットで提案 |
顧客を失わないための5つのステップ
「値上げ」ではなく「価格改定」と伝える
言葉の選び方で、印象は大きく変わります。
「値上げ」はネガティブに響きます。一方、「価格改定」は事業環境の変化への対応として受け取られやすくなります。お知らせ文や口頭での説明では、「価格改定」を使いましょう。
値上げの理由を具体的な数字で説明する
「コストが上がったので…」だけでは納得してもらえません。
伝え方の例
「最低賃金が3年前と比べて約15%上昇しました」
「清掃資材の仕入れ価格が昨年比で20%上がっています」
「燃料費が過去2年で30%以上高騰しています」
数字を見せることで、「仕方ないな」と受け入れてもらいやすくなります。
これまでの企業努力を伝える
値上げが最後の手段であることを、きちんと伝えましょう。
伝えるべきポイント
仕入れ先を見直してコスト削減に取り組んできたこと
業務効率化ツールを導入して作業時間を短縮してきたこと
過去○年間、価格を据え置いてきたこと
「ギリギリまで耐えてきた」という姿勢が伝われば、顧客の信頼は揺らぎません。
十分な猶予期間を設ける
突然の通知は不信感を招きます。最低でも1〜2ヶ月前に通知しましょう。
通知のタイミング目安
定期契約のお客様:次回更新の2ヶ月前
スポット利用のお客様:次回利用の1ヶ月前
法人のお客様:予算期に合わせて3ヶ月前
新しい価値を付加する
値上げと同時にサービスの質や範囲を高めると、納得感がぐっと上がります。
付加価値の例
作業前後の写真レポートを標準提供する
作業完了後に見積書・請求書をその場で発行する
次回予約のリマインド連絡を行う
清掃箇所のチェックリストを共有する
「料金は上がったけど、サービスも良くなった」と感じてもらえれば、継続してもらえる可能性は高まります。
価格改定のお知らせ文テンプレート
以下は、メールや書面で使えるテンプレートです。自社の状況に合わせて修正してください。
件名:サービス価格改定のお知らせ
いつも弊社の清掃サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
近年の人件費・資材費の高騰を受け、弊社では長期にわたり価格の維持に努めてまいりました。しかしながら、最低賃金の○%上昇、清掃資材の○%高騰など事業環境の変化が大きく、品質を維持したサービスを継続するため、価格を改定させていただくこととなりました。
改定時期: ○年○月○日より
改定内容: 現行価格より約○%の改定
今後も高品質なサービスの提供に努めてまいります。何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
改定後の料金につきましては、別途お見積書をお送りいたします。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
値上げ後にやるべきこと
新料金の見積書を素早く発行する
価格改定を伝えたら、新しい料金の見積書をすぐに作成・送付しましょう。曖昧なまま放置すると、お客様は不安を感じます。
見積書作成ツールを使えば、料金を更新してその場で見積書を発行できます。
顧客の反応を記録する
価格改定に対する顧客の反応は、今後の経営判断に役立つデータです。
記録すべき情報
どのお客様が継続してくれたか
解約や減額の申し出があったか
どのような質問や要望があったか
これらの情報を顧客管理ツールで一元管理しておけば、次回の価格改定にも活用できます。
サービス品質を確実に維持する
値上げ直後にサービス品質が下がると、顧客の信頼は一気に崩れます。「値上げした分、より良いサービスを受けている」と顧客に実感してもらうことが、継続契約の鍵です。
まとめ
清掃業の値上げで押さえるべきポイントを整理します。
ステップ | ポイント |
|---|---|
事前準備 | 原価と利益率を正確に把握する |
金額設定 | コスト増を根拠に具体的な金額を算出する |
顧客区分 | 顧客タイプごとに対応方針を変える |
伝え方 | 「価格改定」として数字で理由を示す |
タイミング | 1〜2ヶ月前に通知する |
付加価値 | サービスの質・範囲を同時に向上させる |
事後対応 | 新料金の見積書を迅速に発行し、反応を記録する |
利益を確保できなければ、サービスの品質を下げるか、事業をたたむかの二択です。適正な価格でサービスを提供し続けることこそ、お客様への最大の誠意です。
値上げに踏み切れずにいるなら、まずは自社の原価を把握するところから始めてみてください。
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