「今日は4件の現場が入っている。移動だけで2時間以上かかってしまい、最後の現場はいつも時間ギリギリになる…」
清掃業や設備メンテナンスなどの訪問サービスでは、1日に複数の現場を回ることが日常です。しかし、ルートや段取りを「なんとなく」で決めていると、移動時間のロスが積み重なり、作業品質にも影響が出ます。
この記事では、限られた時間の中で複数の現場を効率よく回すための、ルート設計と段取りの工夫を解説します。
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移動時間がムダになる3つのパターン
予約の入った順番にそのまま回っている
お客様から予約が入った順番で現場を回していると、エリアがバラバラになりがちです。午前中に市の東側へ行き、昼に西側へ戻り、午後にまた東側へ向かう。これでは移動だけで1日の大半が消えてしまいます。
たとえば、1日4件の現場があるとします。予約順に回った場合と、エリア順に並べ替えた場合の移動時間を比較してみましょう。
回り方 | 1件目→2件目 | 2件目→3件目 | 3件目→4件目 | 合計移動時間 |
|---|---|---|---|---|
予約順(バラバラ) | 30分 | 40分 | 35分 | 105分 |
エリア順(東→西) | 10分 | 15分 | 20分 | 45分 |
同じ4件でも、エリア順に並べ替えるだけで移動時間が1時間も短縮できるケースは珍しくありません。
作業時間の見積もりが甘い
「この現場は1時間で終わるだろう」と楽観的に見積もった結果、実際には1時間半かかり、次の現場に遅刻する。こうした積み重ねがスケジュール全体を崩壊させます。
作業時間が延びる主な原因は以下のとおりです。
事前の下見なしで現場に入り、想定以上に汚れがひどかった
お客様との会話が長くなった(作業前の説明、作業後の確認)
道具の準備や養生に予想以上の時間がかかった
駐車場が見つからず到着が遅れた
【失敗談】駐車場が見つからず20分遅刻した話
ナビ通りに現場に到着したものの、近くのコインパーキングがすべて満車。周辺を探し回り、結局20分遅れで現場に到着しました。お客様には明らかに不機嫌な表情をされ、その後の作業も終始気まずい雰囲気のままでした。
この経験以来、ナビの表示時間には必ず15分上乗せするようにしています。特に都市部のマンション密集エリアでは、駐車場探しだけで10分以上かかることが珍しくありません。
準備不足で現場間の切り替えに時間がかかる
次の現場で使う道具や洗剤が車内で見つからない、忘れ物に気づいて取りに戻る。こうしたロスは1回あたり10〜15分ですが、1日に3回あれば約45分のロスになります。年間で計算すると、200日稼働×45分=150時間、つまり約19日分の時間を失っていることになります。
ルート設計の基本
エリアで固める
1日の現場をエリアごとにまとめるのが最も効果的です。「午前は○○エリア、午後は△△エリア」と区切るだけで、移動時間は大幅に短縮できます。
さらに一歩進めて、曜日ごとにエリアを固定する方法もあります。
曜日 | 対応エリア |
|---|---|
月曜 | 市内北部 |
火曜 | 市内南部 |
水曜 | 市内中心部 |
木曜 | 隣接市A |
金曜 | 隣接市B |
予約を受ける際に、「○曜日は○○エリアの対応日です」とお伝えすれば、お客様も自然にそのスケジュールに合わせてくれるようになります。
移動時間に余裕を持たせる
現場間の移動時間は、ナビの表示時間に10〜15分上乗せして計算しましょう。ナビに反映されない時間が必ず発生するためです。
ナビに反映されない時間 | 目安 |
|---|---|
駐車場を探す・停める | 5〜10分 |
荷物の積み下ろし | 5〜10分 |
渋滞・信号待ち | 5〜15分 |
マンションの場合、受付や移動 | 5〜10分 |
「ナビでは20分」の移動は、実際には30〜35分かかることを前提にしましょう。
作業時間に「バッファ」を入れる
1日のスケジュールのどこかに30〜45分の空き時間を設けておきましょう。前の現場が長引いても、この空き時間で吸収できます。
バッファを入れる位置は、午前と午後の切り替え時(昼休憩前後)がおすすめです。仮に前の現場が予定通りに終われば、空き時間を事務作業や請求書の作成に充てられます。
段取りで差がつく3つの工夫
前日の夜に翌日のルートを確認する
当日の朝にバタバタしながらルートを考えるのではなく、前日の夜に5分だけ時間をとって確認しましょう。
前日チェックリスト
各現場の住所と移動順序を確認した
各現場で使う道具・洗剤の種類を確認した
お客様への到着時間の連絡が必要かどうか確認した
駐車場の有無・場所を把握した
現場ごとの特記事項(ペットがいる、鍵を預かっている等)を確認した
車内の道具を「現場別」に準備する
複数の現場を回る場合、現場ごとに使う道具をまとめておくと、現場間の切り替えがスムーズになります。
具体的な方法として、透明な収納ケースやトートバッグに現場名のラベルを貼り、必要な道具と洗剤を事前にセットしておきます。到着したらそのケースだけ持って降りれば、車内で道具を探す時間がゼロになります。
また、車内の道具配置を定位置化しておくことも有効です。「左側の棚は洗剤類、右側はブラシとクロス、奥にバケツと脚立」と決めておけば、暗い車内でも迷わず取り出せます。
到着予定時刻をお客様に事前連絡する
「本日○時頃にお伺いいたします」と事前に連絡を入れておくと、お客様も準備ができますし、万が一遅れそうな場合も早めに連絡できます。
連絡手段はLINEやSMSなど、お客様が普段使い慣れている方法が最適です。前日の夜に翌日の到着予定時刻を一斉に連絡しておくと、当日の対応がスムーズになります。
1日のスケジュール例
それでは、バッファ時間と移動時間を組み込んだ現実的なスケジュール例を見てみましょう。
時間 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
7:45 | 自宅出発。車内で道具の最終確認 | 出発前にケースの忘れ物チェック |
8:30〜10:00 | 現場A(エアコンクリーニング) | 到着5分前にお客様へ連絡 |
10:15〜11:45 | 現場B(浴室クリーニング) | 同エリア内で移動15分 |
12:00〜12:45 | 昼休憩+バッファ時間 | 空き時間で請求書作成 |
13:00〜14:30 | 現場C(キッチン清掃) | エリアを切り替え |
14:45〜16:15 | 現場D(エアコンクリーニング) | 同エリア内で移動15分 |
16:30 | 帰宅。翌日のルート確認・道具補充 | 前日チェックリストを実行 |
ポイントは、各現場の間に15分の移動時間を確保し、昼に45分のバッファを設けている点です。4件の現場を回りつつ、16時半には帰宅できる設計になっています。
まとめ
複数の現場を効率よく回すためのポイントは、シンプルです。
エリアで固める — 曜日ごとにエリアを固定すると移動時間を最小化できる
移動時間に余裕を持たせる — ナビ表示+15分で計算する
バッファを入れる — 1日のどこかに30〜45分の空きを確保し、遅延を吸収する
前日に準備する — チェックリストでルート・道具・連絡事項を確認する
道具を現場別にまとめる — 切り替え時間をゼロに近づけ、年間150時間のロスを防ぐ
「1日1件」の余裕があった時期は過ぎ、複数の現場を回す日が増えてきたら、段取りの仕組みを見直すタイミングです。効率化で生まれた時間を休日に充てる方法については「一人親方のための休日の作り方」も参考にしてください。
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