水道修理業の現場で数年経験を積み、そろそろ独立を考え始めている方もいるのではないでしょうか。その中で「給水装置工事主任技術者」という資格名を耳にして、開業前に必ず取らなければいけない資格なのかと不安になった方もいるはずです。
資格が必要かどうかは、独立後にどこまでの工事を請け負うかによって変わってきます。この記事では、給水装置工事主任技術者の役割、水道修理業の独立とこの資格の関係、受験資格や試験内容、資格取得後に指定給水装置工事事業者になるまでの流れを解説します。
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給水装置工事主任技術者とは
給水装置工事主任技術者は、水道法に基づく国家資格です。試験は水道法に基づく指定試験機関である公益財団法人給水工事技術振興財団が実施しています。
なお水道の整備・管理に関する行政は、2024年4月に厚生労働省から国土交通省と環境省に移管されました。給水装置工事や指定給水装置工事事業者制度に関するルールは、現在はこの2省が所管しています。制度の細かい運用は自治体の水道事業者によって異なる部分もあるため、実際の手続きで迷ったときは事業所所在地の水道事業者(市区町村等)への確認をおすすめします。
給水装置工事と水道修理業の関係
給水装置工事とは、水道メーターの下流側にある給水管を分岐・新設したり、蛇口や給水管を交換したりする工事のことです。水道修理業が請け負う仕事の中には、この給水装置工事に該当するものと該当しないものが混在しています。
例えば、水道メーターから宅内への給水管の新設や交換、給水管の分岐工事は給水装置工事にあたります。一方で、蛇口のパッキン交換やトイレのつまり解消、排水管の清掃といった作業は給水装置工事には該当しません。独立後にどちらの仕事を主軸にするかによって、資格の必要性が変わってきます。
主任技術者が担う役割
給水装置工事主任技術者の主な職務は次の通りです。
給水装置工事に関する技術上の管理
給水装置工事に従事する者への技術上の指導監督
工事によって設置された給水装置が、水道法上の構造・材質の基準に適合しているかの確認
必要に応じた水道事業者との連絡調整
指定給水装置工事事業者は、事業所ごとにこの主任技術者を選任することが義務付けられています。1人で営業する事業所であっても、この選任義務は変わりません。
水道修理業で独立するには資格が必須なのか
蛇口交換やつまり解消といった給水装置工事にあたらない作業だけで営業するのであれば、給水装置工事主任技術者の資格がなくても開業自体は可能です。開業届を出せば、個人事業主として水道修理の仕事を始められます。
ただし、給水管の新設・交換など給水装置工事にあたる仕事を継続的に請け負うには、水道事業者から「指定給水装置工事事業者」の指定を受ける必要があります。この指定を受けるための要件の中核が、給水装置工事主任技術者の選任です。水道修理業の仕事の幅を給水装置工事にまで広げて独立したい場合、資格取得は実質的に必須の条件になります。
「指定給水装置工事事業者」の指定を受ける条件
指定給水装置工事事業者になるための指定基準は、大きく3つに整理できます。
給水装置工事主任技術者の配置 事業所ごとに、給水装置工事主任技術者として選任されることとなる者を置いていること。
必要な機械器具の保有 管を切断するための機械器具、管を加工するための機械器具、接合用の機械器具、水圧テストポンプなど、工事に必要な機械器具を保有していること。
欠格要件に該当しないこと 水道法違反による処分から一定期間が経過していないなど、法令で定められた欠格事由に当てはまらないこと。
指定の申請先は、事業所を置くエリアを管轄する水道事業者(市区町村の水道局等)です。複数の市区町村にまたがって営業する場合、それぞれの水道事業者ごとに指定を申請する必要がある点にも注意が必要です。
また2019年10月の水道法改正により、指定給水装置工事事業者の指定には5年ごとの更新制が導入されました。以前は一度指定を受ければ無期限でしたが、現在は定期的な更新手続きが必要になっている点も、独立を検討する際に押さえておきたいポイントです。
主任技術者を自分で兼任できるか
一人親方として独立する場合、自分自身が給水装置工事主任技術者の資格を取得すれば、自分を主任技術者として選任したうえで指定給水装置工事事業者の指定を受けられます。スタッフを雇わず1人で事業を回す個人事業主でも、この仕組みは問題なく利用できます。
独立開業を検討している方の準備の進め方は、水道修理を個人事業主として始める人必見!準備方法や成功のノウハウを紹介しますでも詳しく紹介しています。
給水装置工事主任技術者の受験資格と試験内容
資格取得に向けては、まず受験資格と試験の全体像を把握しておく必要があります。
受験資格における実務経験の考え方
給水装置工事主任技術者試験の受験資格には、給水装置工事に関して3年以上の実務経験を有することが定められています。これは公益財団法人給水工事技術振興財団の受験の案内でも明記されている要件です。この実務経験は、試験に合格した後で主任技術者として選任される際の要件ではなく、受験の時点で求められる要件である点に注意してください。
水道修理業の現場で給水管の新設・交換工事に携わってきた期間は、この実務経験に含まれます。ただし、実務経験としてカウントされる工事の範囲や証明方法には細かい規定があります。正確な判定については、事業所所在地の水道事業者、または給水工事技術振興財団に直接確認することをおすすめします。
試験科目と難易度の目安
試験はマークシート形式で、公衆衛生や水道行政の知識から、給水装置の構造・性能、工事の施工方法、施工管理まで、8科目にわたって出題されます。実務経験3年以上を経た受験者が対象になる分、現場で身につく知識と重なる範囲も多い試験です。
合格率は年度によって変動するため、正確な数値は受験する年度の公式な受験案内で確認してください。独学のほか、通信講座や対策問題集を使って学科試験に備える方法が一般的です。
資格取得から指定事業者になるまでの流れ
試験に合格したあとも、いくつかの手続きを経て初めて指定給水装置工事事業者として営業できるようになります。
試験合格後に必要な手続き
試験に合格したら、事業所を置く予定のエリアを管轄する水道事業者に対して、指定給水装置工事事業者の指定を申請します。申請の際には、主任技術者として選任する人の資格を証明する書類のほか、保有している機械器具の一覧などを提出するのが一般的です。申請書類の様式や必要書類は水道事業者によって異なるため、事前に窓口へ確認しておくと手続きがスムーズに進みます。
給水装置工事の実務経験を積む方法
まだ実務経験が3年に届いていない場合は、水道修理業を営む会社に就職して現場経験を積む方法や、独立済みの水道修理業者の下請けとして給水装置工事の現場に入る方法があります。独立を見据えて経験を積む段階から、どのような工事にどれだけ携わったかを記録しておくと、将来の受験資格の証明や指定申請の際に役立ちます。
独立開業までの全体的な流れは、水道修理業で開業するために必要なことを徹底解説!でも取り上げています。
水道修理業で独立する際に他に必要な準備
資格や指定の手続き以外にも、独立に向けて整えておきたい準備があります。
開業届・資金・工具の準備
個人事業主として独立する場合は、税務署への開業届の提出が必要です。あわせて、車両や作業工具の購入費、当面の運転資金など、開業時にまとまった資金が必要になる点も見込んでおきましょう。
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の提出
作業車両・工具・機械器具の準備
当面の生活費と運転資金の確保
現場で使う道具の具体的な種類や選び方は、水道修理に必要な道具とは?プロの視点から水道修理に必要な道具をわかりやすく解説!で紹介しています。
元請け・工務店との関係構築
独立直後は、自分だけで新規の顧客を継続的に獲得するのが難しい時期もあります。勤務時代につながりのあった元請け業者や工務店、リフォーム会社などから仕事を紹介してもらえる関係を維持しておくと、独立初期の売上を安定させやすくなります。紹介案件をきっかけに直接の顧客とつながり、リピートや口コミにつなげていく流れをつくることが、独立後の経営を軌道に乗せる近道です。
独立後の案件・見積・請求業務を効率化する
水道修理業は、水漏れなどの緊急対応や出張作業が多く、現場から現場へ移動しながら1日を過ごすことも珍しくありません。その分、見積書の作成や請求書の発行、案件ごとの進捗管理といった事務作業が後回しになりやすく、気づけば夜間や休日にまとめて片付けているという方も多いのではないでしょうか。
独立して事業主になると、これらの事務作業をすべて自分で担うことになります。現場での移動中や作業の合間にスマートフォンで見積書や請求書を作成できれば、事務作業に時間を取られることが少なくなり、本業の工事に集中しやすくなります。現場での請求書発行を効率化する具体的な方法は、現場での請求書発行はアプリで完結!残業を減らし売上を伸ばす方法でも紹介しています。
まとめ
給水装置工事にあたらない作業のみで営業するなら、資格がなくても開業自体は可能
給水管の新設・交換など給水装置工事を請け負うには、指定給水装置工事事業者の指定が実質的に必要
指定を受けるための中核の要件が、給水装置工事主任技術者の選任
受験資格として給水装置工事に関する3年以上の実務経験が必要
独立後は案件・見積・請求業務の効率化も、事業を軌道に乗せるための重要な準備のひとつ
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